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〒468-0023 名古屋市天白区御前場町2番地
名古屋で歯周病治療

歯周病の治療方法

診療案内
Diagnosis and treatment guide

当院の歯周病治療の特徴

患者様一人ひとりに合った歯周病治療
名古屋で歯周病治療に力を入れている天白区のコンドウ歯科です。
歯周病についての豊富な専門的知識と技術を基に、
患者様一人ひとりに合った歯周病の検査、診断、治療、
メインテナンスを行います。

重度の歯周病でも、保存できる可能性が少しでもあるなら、
歯を残す方法を探ります。

再発リスクの高い歯周病は、メインテナンスが重要と考え、力を入れています。

歯を抜かないようにするには

歯周病は歯を失う原因のトップ
「歯周病(歯槽膿漏)」は、歯を失う原因のトップとなっています。
第2位の「虫歯」を抜いて約4割を占めます。

実は歯周病は、初期には自覚症状がほとんどなく、
 1.ブラッシングの時、歯茎から血が出る。
 2. 噛むときに違和感がある。
 3. 歯がしみる。    などの症状は見逃されがちです。
もう少し症状が進み、
 4. 歯茎が痩せ、根元が見えてきた。
 5. 歯の間に物が挟まる。
 6. 歯茎が腫れ、膿が出てくる。口臭を指摘された。
 7. 歯が動揺して、物が噛みにくくなった。
などの症状が出て焦りだします。
そうなる前に対策をとる必要があります。
歯周病を克服する3つのポイント▶ 詳しくはこちら

歯周病治療の方法

歯周病の模式図
歯周病の初発原因である細菌性プラーク(歯垢)をできる限り取り除く(1. プラークコントロール)、さらに歯周病を増悪させた因子(リスクファクター)を取り除くことから始まります。歯周病の治療は長期にわたるので、モチベーションを保つことが大切です。

歯周基本治療は原因除去療法のことで、
歯石除去(2. スケーリング&ルートプレーニング)、
3. 咬合治療(咬合調整、咬み合わせの改善、歯ぎしり治療、詰め物・被せものによる固定治療、)
薬(抗生物質)による歯周内科治療、生活習慣・食生活の改善、抜歯などがあります。
歯周基本治療は、大部分の歯周病がプラークによって発症し進行するという事実と、病因を排除することが治療の欠かせない第 一歩であるということから、進行程度を問わず治療開始当初から繰り返して行われる基本的な治療です。
この歯周基本治療の成否は、歯周治療全体の成否につながる重要なものです。

原因除去によって歯周炎は改善あるいは進行停止する
比較的軽い歯周病であれば、歯や歯の周りを清潔に保つ歯周基本治療を続けることで改善ができます。しかし、歯周基本治療後の再評価検査においても改善が十分ではなく、炎症が歯肉の奥まで進行して、歯周組織の破壊がひどい場合(歯周基本治療を行っても、4mm 以上の深い活動性の歯周ポケットが残存する場合など)には、
歯周組織を回復させるための 4. 歯周外科手術 5. 歯周組織再生療法 6. 歯周形成外科 などの手術が必要となります。

1. プラークコントロール plaque control

プラークコントロールはすべての治療に優先される
プラークコントロールとは、歯周病や虫歯の原因となるプラーク(歯垢)の量を出来る限り少なくするようにコントロールすることです。日々の歯磨きによる治療への積極的な参加が重要なカギとなります。
プラークコントロールが不十分であると、スケーリング・ルートプレーニング、暫間固定、歯周外科治療など、その後の治療の効果は著しく低下して歯周治療そのものが失敗する原因となります。
  • 1. 歯磨き
    正しい歯磨き方法をマスターすることが大事です。あなたのお口の状態に合わせて、
    歯科衛生士が丁寧にご説明・指導をします。ブラッシングは、モチベーションを維持して繰り返し行うことが大切です。歯肉縁上プラークコントロールは、歯肉縁下処置の効果を持続させる上で必要不可欠です。歯周病が中程度以上に進行したり、歯の欠損がある方は歯間ブラシやデンタルフロスを中心とした歯間部清掃用具の使用がきわめて重要となります。
  • 歯石除去の風景
    2. 歯周内科
    薬(抗生物質、ジスロマックなど)による歯周内科の治療をします。
    歯周病原菌を調べて、一気に叩き込みます。薬を飲んだだけで
    歯周病が改善できるわけではありません。薬の効いている間に
    歯周治療をお口全体に、しかも短期間で行うことが効果的です。
    ◆ 薬+歯周基本治療で効果を上げるのです。
  • 3. プラーク増加因子の除去
    ・ 歯石除去
    ・ 不適合修復物の治療、むし歯の治療、楔状欠損(歯と歯茎の境目の歯質が、くさび状にえぐられた状態)の修復
    ・ 歯列不正の矯正治療
    ・ 歯肉歯槽粘膜部異常(小帯異常、口腔前庭狭小)の修正
    ・ 食事の工夫(柔らかく粘着性の食べ物は注意)  など
    プラークリテンションファクター(プラークコントロールを困難にしたり、細菌性プラークの停滞を促進する因子)を取り除きます。
  • 4. 全身性疾患への配慮
    全身的因子が歯周病の発症や進行に非常に重要な誘因であり、また歯周病が全身性疾患の誘因になることも明らかになりつつあります。

2. スケーリング&ルートプレーニング SRP (scaling root planing)

超音波スケーラーとハンドスケーラーの先端
スケーリング&ルートプレーニングとは、
歯肉の上や歯肉の中に隠れたプラーク(歯垢)、付着物、および歯石を除去して、 その後滑沢な根面に仕上げる(歯根膜線維が断裂した壊死セメント質も除去して磨く)ということです。

LPS(細菌由来の内毒素であるエンドトキシン)を含む汚染セメント質も取り除きます。スケーラー(超音波、ハンドスケーラーなど)と言われる器具で取り除きます。

左側が超音波スケーラー、右側がハンドスケーラーの先端です。
超音波スケーラーのチップの改善により、歯肉縁下のスケーリングも行うことが可能です。

3. 咬合治療(咬合の調整、咬み合わせの改善)

咬合によって引き起こされる歯周組織の障害は、咬合性外傷と呼ばれ、
歯周病を加速度的に進行させます。(炎症+無理な力で歯周組織が高度に破壊されます。)
このような強い咬合の起こる原因は、歯軋り、噛みしめ、歯周病による歯並びの乱れによる早期接触などです。咬合調整や歯冠形態修正を行うことにより、早期接触や咬頭干渉を取り除きます。また、
矯正治療をすることで審美的な回復と、咬み合わせや外傷性咬合を改善でき、歯磨きがしやすくなりプラークが付きにくくなります。
さらに顎関節症やブラキシズムの改善、歯冠修復後や矯正治療後の咬合の安定化、食片圧入の改善も咬合調整の目的です。
■ 咬合性外傷の所見
歯の動揺の増加、早期接触、著しい咬耗、深い歯周ポケットの形成、歯の病的移動、アブフラクション(くさび状欠損)、歯の破折などです。(臨床所見として、このうち一つまたは複数が含まれます)
■ 咬合調整
歯を削合することにより外傷性咬合(早期接触、強い側方圧、ブラキシズムなど)、特に早期接触や咬頭干渉を取り除く治療法です。
歯冠形態修正は、歯冠を削合して咬合力の負担量を軽減し、二次性咬合性外傷を改善する治療法です。
■ 暫間固定
暫間固定は咬合性外傷の解消が咬合調整のみでは期待できない場合や、歯の動揺が強い場合に、周囲の歯と連結することにより、歯周組織に対する咬合圧の分散と安静をはかる目的で行います。暫間固定前後に咬合調整を十分に行い、装置が口腔衛生管理を阻害しないように注意します。暫間固定は一定期間固定行い歯周組織の変化を観察します。十分な歯周組織の安定が得られた場合には暫間固定を除去し、その状態によって永久固定への移行を検討します。
■ 歯周治療用装置(義歯床形態あるいは冠(クラウン)形態の装置)
歯周治療用装置による固定は、暫間的に咬合、審美性を回復するだけでなく、清掃性、補綴装置の形態、残存歯の保存の適否などを評価するために用います。

4. 歯周病の急性炎症の処置

慢性的に経過している歯周病は、宿主側(体)の組織抵抗力が低下してくると急性化します。
歯肉膿瘍や歯周膿瘍の急性発作には、咬合状態を確認して、必要に応じて、咬合調整を行います。
さらに、原因と考えられる歯周ポケット内を徹底的に洗浄し、明らかに波動が触れる膿瘍には切開を行います。歯の動揺が顕著な場合には、暫間固定を行います。
抗菌薬は、炎症を抑制して歯周炎の治癒を促すために効果的な手段です。
さらに、ストレスや疲れを取って、生活習慣を整えることも大切です。
 ※ 歯肉膿瘍は、隣接する歯周ポケットからの細菌感染や歯肉に対する外部からの刺激、
   歯肉への外傷や感染によって、歯肉結合組織に形成された膿瘍です。
しかしこれらの処置は、一次的な症状の緩和には有効ですが、 原因のプラークを根本的に取り除くことなしに、 歯周病は決して治癒しません。

5. 歯周外科手術(フラップオペ)

歯周外科手術(フラップオペ)の風景
歯肉剥離掻爬術(フラップ手術、フラップオペ)と呼ばれる、
歯周ポケットを除去する手術です。
歯周基本治療だけでは、歯周組織の改善が望めない進行した歯周病に適応されます。
プラークチャートの指数が少なくとも20%程度、
できれば10%以下を維持できていること。
適応症は、垂直性骨吸収によって骨縁下ポケットが存在している、
歯槽骨の形態が異常、根分岐部病変などです。
垂直性骨吸収に対しても対応が可能な手術法で、治癒形態は長い上皮性付着によることが多いです。
骨欠損が大きい場合、フラップ手術を行って病変を除去した後,組織再生の足場となる自家骨や
種々の移植材を移植する場合もあります。
目標は、安定した歯周組織(ポケット除去、付着歯肉の獲得、根分岐部病変がない、骨の平坦化など)
を取り戻すことで清掃性の良いお口の環境を作ることです。
※ 歯周外科などは、外科処置に伴う痛み、腫れ、出血、合併症の可能性があります。
  口腔清掃が十分行えない場合は再発の可能性もあるため歯周外科の適応ではありません。

6. 歯周組織再生療法

  • 1. エンドゲイン法
    歯周組織再生のイメージ図
     エムドゲインの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ EMD)は、子どもの頃、歯が生えてくる時に重要な働きをする
    タンパク質の一種です。
    歯の根に塗布することにより、一度失った歯周組織の再生を期待
    出来ます。
    EMD法(エムドゲイン)を行うことで、一度失った歯周組織を再生することが期待でき、重度の歯周病の歯でも救うことが出来る可能性が出てきました。
  • 2. 歯周組織再生剤(リグロス)
    遺伝子組換えヒトbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)製剤です。歯周組織再生医薬品です。
  • 3. 骨移植
    骨移植術は、骨欠損部の再生による歯周組織の安定、歯の支持増強による機能性・審美性の確保を目的として行われます。自家骨移植、βリン酸三カルシウムβ-TCPや炭酸アパタイトなどの骨補填剤による方法があります。
歯周組織再生療法▶ 詳しくはこちら

7. 歯周形成外科

歯根面被覆(歯肉が痩せて歯が長く見えるのを治す)、遊離歯肉移植術FGG、結合組織移植術CTGなどで歯肉の形、量、歯槽粘膜の状態に関する問題を解決するのが歯周形成外科です。
露出した歯根を覆う、歯肉の量を増やす(歯周の予後が安定する)といった処置です。
また、小帯(上唇小帯・下唇小帯・頬小帯など)形態異常を修正し、適切なプラークコントロールが行えるような手術をします。

8. 歯周細菌検査に基づく経口抗菌薬の選択

メトロニダゾール:フラジールは、嫌気性歯周病原細菌が検出される歯周病に対して臨床的および細菌学的改善効果が認められ、A. actinomycetemcomitans の感染症例に対しては、ペニシリン系抗菌薬であるアモキシシリンとの複合投与が有効です。

9. 根分岐部病変の治療

根分岐部病変は辺縁歯周組織からの炎症の波及、外傷性咬合、歯周-歯内病変などによって生じます。
診断には、ファーケーションプローブを用いた精密なプロービングとエックス線画像による検査が欠かせません。
歯根の形態や離開度、ルートトランク(複数根歯のCEJから根分岐部までの部分のこと)の長さ、歯頸部のエナメル突起などが根分岐部への病変の波及やその程度にかかわっています。
Lindhe とNyman の根分岐部病変分類による治療方法について説明します。
  • ・1 度もしくは軽度の2 度の病変では、歯周基本治療、エナメル突起やエナメル真珠の選択的な削合除去、ファーケーションプラスティ (根分岐部形態修整のことで 根分岐部の歯面を削合して整形、骨の形態を整形する) などで対応します。
  • ・2 度の病変では、組織付着療法や歯周組織再生療法が適応となります。
  • ・3 度の病変では、トンネリング、ルートセパレーションなどが適応となります。
治療を成功に導くには、術後のプラークコントロールなど綿密な指導管理が重要です。

予防、メインテナンス

歯周治療→再評価の後、口腔機能回復治療が終了した時点で、病状安定または治癒と判定された場合には、SPT、歯周病重症化予防治療(P 重防) かメインテナンスに移行します。
※ SPTとは、サポーティブペリオドンタルセラピーの略で、病状安定となった歯周組織を維持するための治療のことです。
SPT時には、口腔状況のみならず全身状況を把握して、プラークコントロールの強化指導や食生活指導などを含んだ生活習慣の改善指導を含んだ歯周病管理が必要です。プラークコントロールが不良な状態だと1 〜 2 ヵ月でポケット内の細菌叢が後戻りするので注意が必要です。モチベーションを保ちつつ、より適切な清掃方法を取り入れ、レベルアップをはかることが大切です。
「病状安定」とは、再評価検査 (プロービングデプス・プロービング時の出血(BOP)・動揺度・根分岐部病変・細菌検査など) の結果、歯周組織のほとんどの部分は健康を回復したが、一部分に病変が休止しているとみなされるプロービング時の出血を認めない4mm 以上の歯周ポケット、根分岐部病変、歯の動揺などが認められる状態のことを言います。

歯周病は気付かない間に進行する恐い病気です。進行して歯周組織の破壊が進めば、修復が難しくなります。歯周病の進行は一般的に全ての歯(1本だけ歯周病になることは少ない)に波及します。歯の形態によって、進行しやすい歯、進行しにくい歯、という差はあります。
その予防は、プラークを確実に取り除くこと(バイオフィルムの除去)、生活習慣の改善、定期健診(メインテナンス)です。ブラッシングは回数や長さよりも、磨き残しがないように丁寧に磨くことが大切です。

「病状進行」は、プロービングデプスが4mm を超え、プロービング時の出血が認められる場合です。
特に、2 mm 以上のアタッチメントロス、プロービング時の出血傾向が続く場合、エックス線画像における骨吸収の進行、動揺度の増加などが認められた場合には歯周治療を再度行う必要があります。
■ SPTで行うこと
SPTの実施に際し、歯周組織検査をおこない、その結果をもとに、プラークコントロール、スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング、外傷性因子の是正・除去(咬合調整,歯冠形態修正)などを行います。
さらに,症状の変化と必要に応じて、局所薬物配送システムを使用した抗菌療法、歯周外科治療、暫間固定なども行います。
メインテナンスに移行するのに望ましい条件
  • 1) 全歯牙周囲の歯肉溝が3mm以内である。
  • 2) プロービングにより出血しない。
  • 3) 垂直的な骨欠損や骨の極端な段差がない。
  • 4) 根分岐部病変がない。
  • 5) 歯肉歯槽粘膜に問題がない。
  • 6) 咬合が安定している。
  • 7) 動揺がコントロールされて安定している。