「歯は、痛くなってから治療するものだ。」と思っている方が多く、予防型の口腔ケアは軽視されがちです。まして介護が必要な方やお体に障がいがある方など、外来診療が困難な方への口腔ケアはほとんど行われていないケースも多いのです。また、意思疎通ができず口腔内の不具合をなかなか訴えられないという方も多いので、「口腔ケアによる予防」が大切になってきます。訪問歯科治療による歯科治療後にも引き続き、専門的な口腔ケアを受けられる事をお勧めします。さらに、口腔内のトラブルを放置すると、誤嚥性肺炎など、身体に悪影響が及ぶことがあるため注意が必要です。お口の状態は、全身の健康と密接な関係があります。口腔ケアで、体を蝕む多くの病気を予防することができるのです。
口腔内の衛生状態や、口腔機能の維持改善を目的として、口腔清掃(歯や舌のブラッシング、歯石取り)、食物残渣の除去、粘膜の清拭とマッサージ、入れ歯の洗浄、衛生指導などを行います。このことにより、口腔の疾病予防・機能回復、健康の保持増進、さらにQOLの向上を目指すものです。口腔ケアとは、歯科治療、歯科保健指導、専門的口腔清掃、摂食機能訓練などを総括して呼んでいます。これらのことは、専門の知識を持って訓練を受けた歯科医師、歯科衛生士によって行われます。
米山武義 先生の有名な文献があります。
特別養護老人ホームにおいて,専門的口腔ケアを行った。
1、2カ月の短期間では両群間の総細菌数及び連鎖球菌数いずれも顕著な相違は認められなかった。
しかし、 開始後5カ月という長期間では、口腔ケア群の総細菌数を対照群とそれぞれ比較すると、,有意 (p<0.01) に減少した。
期間中に発熱をおこした者は口腔ケア群27名、対照群54名であり、 対照群で有意に多かった
(p<0.01)。
Dr.米山武義(日老医誌 2001; 38: 476-477)
体調、病気の具合、認知症、介護の事、家族のこと、、、など
訪問歯科治療・口腔ケアに際してご心配なこと、お困りごとは、お気軽に名古屋市天白区コンドウ歯科医院までご相談してください。
寝たきりになると、舌の動きが鈍くなったり唾液の分泌が減るので舌に汚れがたまりやすくなります。たまった汚れは、細菌、だ液の成分、お口に残った食べかす等の集まりで、「舌苔」(ぜったい)と言います。また、お口の清掃が不良だったり、麻痺などで舌の動きが悪いと分厚い舌苔 がべったりと付着している場合もあります(麻痺側に残ります)。これが、誤嚥性の肺炎、口臭の原因のひとつになっています。歯ブラシや専用の舌ブラシでケアします。力を入れずに奥から手前にやさしく動かします。
特に奥舌を丁寧に清掃します。ただし、清掃し過ぎると舌の表面を傷つけ、味蕾などの味覚のセンサーを傷める事になります。専門の歯科医師、衛生士の指導を受けましょう。
口腔内の歯、粘膜、舌などの汚れを取り除くケアのことです。うがい、歯磨き、義歯清掃、粘膜・舌の清掃などです。
歯ブラシや口腔内清掃具を用いて、体位にも気をつけて、できるだけ口の中の細菌を減少させます。
歯のブラッシング、舌の清掃、粘膜の食物残渣除去・清掃・マッサージ、歯間部の清掃などを行います。
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※唾液腺マッサージ 唾液腺をやさしくマッサージすることにより、唾液の分泌が促され、
潤いのある健康なお口に近づきます。ご相談してください。
※ 症状、状況によりメニューが変わります。
お口の機能(噛む、飲み込む、話す、笑うなど)を回復させ、維持、向上させるためのケアです。
呼吸(深呼吸、口すぼめ呼吸)、頚部ストレッチ(前後左右)、口唇頬(横引き、突出、閉鎖)、
舌(突出、後退、左右、押し付け)、軟口蓋(挙上)などです。
機能的口腔ケアは、要介護高齢者の摂食・嚥下機能にかかわる舌機能の維持増進に効果的です。