ご予約・ご相談は
052-801-8148
〒468-0023 名古屋市天白区御前場町2番地
名古屋市天白区の訪問歯科

専門的口腔ケア

診療案内
Diagnosis and treatment guide

「専門的口腔ケア」の重要性

「歯は、痛くなってから治療するものだ。」と思っている方が多く、予防型の口腔ケアは軽視されがちです。まして介護が必要な方やお体に障がいがある方など、外来診療が困難な方への口腔ケアはほとんど行われていないケースも多いのです。また、意思疎通ができず口腔内の不具合をなかなか訴えられないという方も多いので、「口腔ケアによる予防」が大切になってきます。訪問歯科治療による歯科治療後にも引き続き、専門的な口腔ケアを受けられる事をお勧めします。さらに、口腔内のトラブルを放置すると、誤嚥性肺炎など、身体に悪影響が及ぶことがあるため注意が必要です。お口の状態は、全身の健康と密接な関係があります。口腔ケアで、体を蝕む多くの病気を予防することができるのです。

口腔ケアとは

口腔内の衛生状態や、口腔機能の維持改善を目的として、口腔清掃(歯や舌のブラッシング、歯石取り)、食物残渣の除去、粘膜の清拭とマッサージ、入れ歯の洗浄、衛生指導などを行います。このことにより、口腔の疾病予防・機能回復、健康の保持増進、さらにQOLの向上を目指すものです。口腔ケアとは、歯科治療、歯科保健指導、専門的口腔清掃、摂食機能訓練などを総括して呼んでいます。これらのことは、専門の知識を持って訓練を受けた歯科医師、歯科衛生士によって行われます。

このような効果があります

  • 1.虫歯や歯周病、口腔疾病(口腔カンジダ症、口腔乾燥)の予防になります。
    プラークの中には、虫歯菌、歯周病菌が住み着いています。歯の間や歯の付け根、歯周ポケット中に潜んでいるプラークを取り除きます。問題となる根面う蝕の予防にもなります。
    • ※ 口腔カンジダ症とは、カビの一種であるカンジダ菌(Candida albicansなど)によって引き起こされる日和見感染です。免疫力の低下した人や高齢者などにみられ、頬、唇、口蓋等の口腔粘膜や舌に灰色や白色の膜が現れ、飲食時に痛みを伴います。
  • 2. 誤嚥性肺炎を予防します。(口の中を清潔に保って細菌の増殖を防ぐ)
    (肺炎は死因第3位(平成26年人口動態統計による)、男では90歳代で肺炎が第1位と最も多い。)第1位は悪性新生物 28.9%、第2位は心疾患 15.5%、第3位は肺炎 9.4%です。
  • 3.咀嚼・嚥下・会話といった摂食や発語機能の維持を期待できます。(唇、頬、舌の動きをよくする)
    口腔への刺激は嚥下反射や咳反射を改善することが報告されています。具体的には、舌挙上の筋力を鍛えるための舌訓練、嚥下機能を改善するためのアイスマッサージや頭部拳上訓練、せき払い訓練、メンデルソン手技、嚥下の意識化(Think swallow)、頬の動きを改善するための頬訓練などを行います。
    舌の力が増し、摂取食物形態の改善に寄与する効果があります。
    • ※ 嚥下機能評価には、まず問診をしたうえで、反復唾液嚥下テスト(RSST)、改訂水飲みテスト(MWST)、FOODテス、頚部聴診 、パルスオキシメータ 等があります。パルスオキシメーターは、経皮的酸素飽和度測定器で呼吸状態をモニターしながら、治療中の呼吸困難、喘息発作などを察知します。反復唾液嚥下テスト(RSST)は、30秒間に空嚥下(つばを貯めて飲み込む)を可能な限りしてもらい、3回以上できれば正常とします。
      2回以下の場合には嚥下開始困難、誤嚥が疑われます。
      喉頭挙上が完了せず、喉頭隆起・舌骨が上前方に十分移動しないまま、途中で下降してしまう場合はカウントしない。改訂水飲みテストは、3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下してもらい、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価します。3ml冷水の嚥下が可能な場合には、更に2回の嚥下運動を追加して評価します。
  • 4. 口臭を軽減して、対人関係を円滑にします。
    口臭がするケース
    ・食べカスや歯垢(プラーク)が沢山付いている。
    ・虫歯や歯周病がある。特に、歯周病原菌は、硫化水素より悪臭の強いメチルメルカプタンを大量に産生するので、強い口臭となります。
    ・口から食事をしていない。(使っていないので汚れが停滞している。)
    ・入れ歯が原因(清掃不良で入れ歯の下が汚い、入れ歯が当たり粘膜に褥瘡ができる。)
    ・舌苔(舌の表面に付着している汚れ)がたまっている。(舌の動きが悪いとたまり易い。)脳梗塞などで思うように舌が動かない場合、麻痺側に舌苔が多く付着してきます。
    ・鼻、喉、胃などの異常がある場合にも、口臭があります。また、食事内容との関係ですることもあります。高齢者の口臭の大きな原因は、年齢による唾液の分泌量低下で口が乾燥するため、口のなかの細菌が、舌や上アゴにもたくさん付くようになる事です。
  • 5. 口腔内の血行促進や自浄作用(唾液や食べ物などによる自然に生じる洗浄力)を高めて、口腔機能を改善します。味覚の改善などが挙げられます。
  • 6. 最近では、がん療法が進み、口腔ケアは抗ガン治療に伴い出現する口内炎の予防に貢献しています。口腔内を清潔に保つことにより、がん手術後の感染症などの合併症を抑えたり、がん化学療法に伴う口内炎などの合併症を予防したりします。もし合併症が重篤になってしまった場合、がん治療がストップしてしまうこともあるので、口腔ケアは重要です。(周術期口腔ケアは医科と歯科が連携して行います)

口腔ケアの関する文献

米山武義 先生の有名な文献があります。
特別養護老人ホームにおいて,専門的口腔ケアを行った。
1、2カ月の短期間では両群間の総細菌数及び連鎖球菌数いずれも顕著な相違は認められなかった。
しかし、 開始後5カ月という長期間では、口腔ケア群の総細菌数を対照群とそれぞれ比較すると、,有意 (p<0.01) に減少した。
期間中に発熱をおこした者は口腔ケア群27名、対照群54名であり、 対照群で有意に多かった
(p<0.01)。
Dr.米山武義(日老医誌 2001; 38: 476-477)

体調、病気の具合、認知症、介護の事、家族のこと、、、など

訪問歯科治療・口腔ケアに際してご心配なこと、お困りごとは、お気軽に名古屋市天白区コンドウ歯科医院までご相談してください。

舌の清掃

寝たきりになると、舌の動きが鈍くなったり唾液の分泌が減るので舌に汚れがたまりやすくなります。たまった汚れは、細菌、だ液の成分、お口に残った食べかす等の集まりで、「舌苔」(ぜったい)と言います。また、お口の清掃が不良だったり、麻痺などで舌の動きが悪いと分厚い舌苔 がべったりと付着している場合もあります(麻痺側に残ります)。これが、誤嚥性の肺炎、口臭の原因のひとつになっています。歯ブラシや専用の舌ブラシでケアします。力を入れずに奥から手前にやさしく動かします。
特に奥舌を丁寧に清掃します。ただし、清掃し過ぎると舌の表面を傷つけ、味蕾などの味覚のセンサーを傷める事になります。専門の歯科医師、衛生士の指導を受けましょう。

器質的口腔ケア

口腔内の歯、粘膜、舌などの汚れを取り除くケアのことです。うがい、歯磨き、義歯清掃、粘膜・舌の清掃などです。
歯ブラシや口腔内清掃具を用いて、体位にも気をつけて、できるだけ口の中の細菌を減少させます。

歯のブラッシング、舌の清掃、粘膜の食物残渣除去・清掃・マッサージ、歯間部の清掃などを行います。

  • 唾液腺マッサージ 唾液腺をやさしくマッサージすることにより、唾液の分泌が促され、 潤いのある健康なお口に近づきます。ご相談してください。

※ 症状、状況によりメニューが変わります。

機能的口腔ケア

お口の機能(噛む、飲み込む、話す、笑うなど)を回復させ、維持、向上させるためのケアです。
呼吸(深呼吸、口すぼめ呼吸)、頚部ストレッチ(前後左右)、口唇頬(横引き、突出、閉鎖)、
舌(突出、後退、左右、押し付け)、軟口蓋(挙上)などです。

機能的口腔ケアは、要介護高齢者の摂食・嚥下機能にかかわる舌機能の維持増進に効果的です。

がん治療における専門的口腔ケア

要介護者だけでなく、がん治療における専門的口腔ケアは、今後必要になる分野です。具体的には、歯石・歯垢除去、ブラッシング指導、義歯調整、保存不可能な歯の抜歯などの口腔ケアを行います。

がん治療で専門的口腔ケアを受ける利点

  • 1.がん治療に際して起こる副作用、化学療法や放射線療法に伴う「口腔粘膜炎、口内炎」「口腔乾燥」「味覚の変化」などの重症化を防止できる。(抗がん剤治療で40%、お口や喉のがんに対する放射線治療ではほぼ100%に現れます)
  • 2.副作用が軽ければ、がん治療の継続がスムーズになる。
  • 3.手術後の肺炎などの合併症が減少して、入院日数を短縮できる可能性がある。
  • 4.がん治療時の免疫力低下によっておこる口腔内慢性炎症の急性増悪を防止できる。
  • 5.抜歯などの処置は、抗がん剤や放射線治療の影響で治療開始後には困難となる場合が多いが、治療前なら安全に行える。
  • 6.口腔ケアにより、ナディア期(一番苦しい時期)のトラブルを最小限にして、経口摂取の継続を目指せる。
    ※ ナディア(nadir)期とは、化学療法の期間中に(化学療法試行後7〜14日で最低値となる場合が多い)、体の中の血球数(白血球、赤血球、血小板)が一番少ない数になった状態を意味します。
  • 7.周術期における医科歯科連携により、患者さまのQOLを保てる可能性が高まる。
    抗がん剤による副作用で吐き気がひどく、水分や栄養補給のため胃ろう(胃瘻)造設をした場合でも嚥下機能が正常なら、再び口から食事ができるチャンスがあります。その為にも口腔ケアが必要です。